新潟県立近代美術館では、新潟県西蒲原郡巻町(現・新潟市西蒲区)に生まれ、国際的に活躍した久保田成子(1937-2015)の没後初、日本では約30年ぶりの大規模な個展を開催します。映像と彫刻を組み合わせた「ヴィデオ彫刻」で知られる久保田は、ヴィデオ・アートの先駆者の一人とみなされています。しかしながら、彼女の現代美術への貢献は、十分に評価されているとはいえません。
本展の目的は、アメリカを拠点に日本人女性アーティストとして活動した久保田成子について、最新研究に基づいた新たな作家像を提示することにあります。2015年に彼女が亡くなった直後、その遺産を保護し、さらに発展させるために、久保田成子ヴィデオ・アート財団がニューヨークに設立されました。本展では、財団によって復元されたヴィデオ彫刻のほか、作家によって保管されていたドローイング、資料などを中心に、国内美術館の所蔵品や作家の遺族からの借用品を含め、初公開資料を多数展示します。
ヴィデオというメディアの黎明期に、世界を舞台に自らの芸術を展開する一人の女性作家として、何を考え、どのように表現を追求したのか。新潟を皮切りに、約1年をかけて全国3カ所の美術館を巡回する本展では、代表作「デュシャンピアナ」シリーズをはじめ、ヴィデオ彫刻、映像作品、それらのためのスケッチやアーカイヴ資料などにより、久保田の仕事を展覧します。
今回展示している展示作品には、一部性的な表現や畜産物を解体する映像が含まれており、そのため18歳未満の鑑賞者については保護者及び引率者の同伴が望ましいビデオ作品が3点あります。時代性、各国の文化、作品の意義に勘案して展示を行っていますが、2点につきましては、それぞれの作品の前に、鑑賞については保護者及び引率者の同伴が望ましいことを表示しています。また1点についてはゾーニングを行い、18歳未満の方のみでのご鑑賞については制限を行っています。本展においでになる際には、上記にご留意頂き、ご鑑賞ください。
映像作品については常時、稼働しておりますが、下記3点のモーター系駆動作品につきましては、モーター部分が古く、消耗を防ぐために作品稼動時間を以下の通りとしています。ご了承ください。
作品《デュシャンピアナ:自転車の車輪 1,2,3》 毎時 00分~10分
作品《河》 9:00~10:00/11:00~12:00/13:00~14:00/15:00~16:00
作品《スケート選手》 10:00~11:00/12:00~13:00/14:00~15:00/16:00~17:00
主催:新潟県立近代美術館/読売新聞社/美術館連絡協議会/TeNYテレビ新潟
協賛:ライオン/DNP大日本印刷/損保ジャパン
協力:新潟県立美術館友の会/長岡市立中央図書館
後援:新潟市/長岡市/長岡新聞社/NCT/エフエムラジオ新潟/FMながおか80.7/新潟日米協会/新潟日独協会
助成:テラ・アメリカ美術基金(Terra Foundation for American Art)/文化庁・令和2年度文化庁優れた現代美術の国際発信促進事業/公益財団法人ポーラ美術振興財団/公益財団法人三菱UFJ信託地域文化財団/公益財団法人野村財団
展覧会チラシ(2MB) プレスリリース(2MB)
※学校向け団体観覧のご案内はこちら、障害者の方へのご案内はこちらをご覧ください。
当日券 | |
一般 | 1,000円 (800円) |
大学・高校生 | 800円 (600円) |
※表記の金額はすべて税込。
※中学生以下無料。
※( )内は有料20名様以上の団体。
※障害者手帳・療育手帳をお持ちの方は観覧料が免除になります。 受付で手帳を御提示ください。
新型コロナウィルス感染拡大防止の観点から事前申込み制になっています。
詳しくは各イベントのリンク先をご覧ください。
※新型コロナウイルス感染の状況により、開催内容に変更が生じる場合もあります。
・「スペシャルトークイベント」
5月2日(日) 14:00~15:30 講堂 要事前申込/聴講無料(*要観覧券)
ゲスト:島敦彦氏(国立国際美術館長)、吉原悠博氏(美術家、写真館主)
美術鑑賞講座
・「映像美術の誕生」
4月17日(土) 14:00~15:30 講堂 要事前申込/聴講無料
講師:藤田裕彦(当館学芸課長)
・「新潟から世界へ ヴィデオ・アーティスト 久保田成子」
5月15日(土) 14:00~15:30 講堂 要事前申込/聴講無料
講師:濱田真由美(当館主任学芸員)
映画鑑賞会
・『ウォールデン』
5月22日(土) 13:00~16:00 講堂 要事前申込/参加無料(*要観覧券)
担当学芸員によるギャラリートーク
3月28日(日)、4月25日(日)、6月6日(日)
各回14:00~ 企画展示室 申込不要/参加無料(*要観覧券)
1. 初期:新潟から東京へ
久保田の新潟での生い立ちと東京での活動を、個人的な資料や写真、初期の作品などを通して紹介します。
2. 渡米:フルクサス、パフォーマンス、ソニック・アーツ・ユニオン
渡米した1964年以降、前衛芸術家集団「フルクサス」での活動や、ニューヨークを拠点とする国際的なアーティストたちとの交流をたどります。
3. ヴィデオとの出会い
1970年代に入ると、生涯のパートナーとなるナムジュン・パイクとの共同生活から、ヴィデオを使った作品の制作に着手します。ソニーのポータパックを担ぎ、一人でヨーロッパを旅しながら撮影した初期のシングルチャンネル・ビデオ作品《ブロークン・ダイアリー:ヨーロッパを一日ハーフインチで》(1972年)をはじめ、メアリー・ルシエなどの女性アーティストとのコラボレーションも紹介され、ヴィデオというメディアへの移行を示します。
Shigeko Kubota Portrait © Tom Haar, 1972. Courtesy of Tom Haar and Shigeko Kubota Video Art Foundation
4. 「デュシャンピアナ」シリーズ:ヴィデオ彫刻の誕生
1968年のマルセル・デュシャンとの偶然の出会いから、デュシャンとジョン・ケージのチェス・コンサート「リユニオン」を題材とした音声記録付き作品集『マルセル・デュシャンとジョン・ケージ』(1970年)を発表します。その後、デュシャンへのオマージュとして始めた「デュシャンピアナ」のシリーズでは、久保田の代名詞となるヴィデオ彫刻の傑作を生み出しました。
左:《デュシャンピアナ:階段を降りる裸体》1976年 Photo by Peter Moore
右:《デュシャンピアナ:自転車の車輪1、2、3》と《三つの山》の展示風景(原美術館、1992年)撮影:内田芳孝
5. ヴィデオ彫刻の拡張
1980年頃から制作された作品では、水やモーター、プロジェクションによる動きといった要素を取り入れていきます。それによって、ヴィデオ彫刻が空間的にも時間的にも拡張していく様子を紹介します。
左:《三つの山》1979年 Photo by Peter Moore
右:《河》1981年 Photo by Peter Moore
1992年の冬季オリンピックで銀メダルを獲得したフィギュアスケート選手、伊藤みどりをモデルにした《スケート選手》や夫パイクの故郷の墓をモチーフにした《韓国の墓》(いずれも1993年)などは日本初公開のヴィデオ彫刻です。また、様々な作家との交流を示す写真や手紙といった資料の多くは世界初公開となります。
ヴィデオ彫刻で一躍有名になる以前の「フルクサス」での活動や「ソニック・アーツ・ユニオン」との関わり、またヴィデオ・アートに取り組み始めた最初期の活動といった、これまでほとんど知られていなかった久保田成子の一面をご紹介します。
デュシャンとの出会いから作られた一連の代表作を一堂に会し、デュシャンへの敬意とそれを乗り越えようとする久保田の挑戦を、作品を通してご覧いただきます。
All Images Courtesy of Shigeko Kubota Video Art Foundation; © Estate of Shigeko Kubota
2021年03月20日(土) ~ 2021年06月06日(日)
9:00~17:00
券売は16:30まで
3/22(月)、29(月)、4/5(月)、12( 月)、19(月)、26(月)、5/10(月)、17(月)、24(月)、31(月)
大人:当日1,000円(800円)
大・高生:当日800円(600円)
※( )内は有料20名以上の団体
※中学生以下無料
新潟県立近代美術館
交通案内はこちら