2020年度 第3期

概要

展示室1「近代美術館の名品 ―新収蔵品を中心に―」

 謎に満ちた、下村観山の軸

  ――金襴地、朱の表具、そして葵の御紋…

昨年度に新しく当館の所蔵品になった作品を中心にご紹介します。

■地元長岡市の名士 髙鳥博氏のコレクションから。中でも 下村観山の《普賢文殊》に注目!

下村観山《普賢文殊》1909年頃

   

・〈金襴地〉といわれる超豪華な金糸を織った絵絹に描かれています。

・表装の部分には、葵の御紋が織り込まれています。また、二幅に描かれた普賢・文殊の大きさや落款の位置も、通常の仏画の表現形式とは異なる謎の多い作品で、来歴についてのこれからの研究が待たれるところです。    下村観山《普賢文殊》の謎

■繊細で美しい小林ドンゲの銅版画

小林ドンゲ 堀口大學詩集『夕の虹』所収版画《花》1957年

   

・小林ドンゲは、堀口大學の詩集の挿絵を任された一人、女流銅版画家です。

・ドンゲが描く女性は、妖しい魅力を放ち、線はあくまでも繊細。この挿絵が、堀口大學の詩の世界を豊かに膨らませます。

・版画作品だけでなく、スケッチブックに描かれた下絵や原版も展示。原版も工芸品のように美しく、必見です。

■二代 宮川香山の陶作品も

二代 宮川香山《八幡古瓦》1920年頃

   

・陶作品でここまで…!くちばしや羽毛、爪の繊細な表現をお楽しみください。

 

展示室2「生誕110年佐藤哲三 と 蒲原の画家達」

 新潟の原風景 蒲原平野 ――胸に迫る懐かしい光景

本年生誕110年となる佐藤哲三の作品を中心に、当地新発田で隆盛した芸術活動とその様相を併せてご紹介します。

佐藤哲三《帰路》1954年

   

■在野の画家、佐藤哲三

・蒲原の地で育った哲三は、上京せずに郷土にとどまり、北蒲原の大地とそこに住む人たちの姿を、情感豊かに描き続けました。

・参考図版も紹介し、画集などを見て独学で学んだ姿も浮き彫りにします。

■当館所蔵の全作品を一挙に紹介

・油彩画17点、水彩画1点、版画3点、素描2点の、全23点を展示します。

■郷愁を呼ぶ、新潟の原風景

・蒲原平野に広がる水田やたも木、夕日や残雪の光景は、新潟そのものといえるでしょう。 哲三の筆さばきを通じて、私たちの心に郷愁を呼び起こします。

■地域で広がる芸術活動の様相

・現存唯一の新発田で発行された文芸誌『土塊』も展示することにより、当時この地で活発化した芸術活動の様相が見えてきます。

・『土塊』に参加した、哲三の長兄重義、仲間達や憧れの先輩の絵画作品も展示紹介します。

 

展示室3 「中村忠二 詩情と激情」

独特の世界を、叙情性豊かに描く

モノタイプという版画を手がけた画家中村忠二の、激しくも繊細で叙情豊かな作品世界をご紹介します。

中村忠二《崖シリーズNo.5「死」》1966年

   

■中村忠二 って?

・現在の兵庫県姫路市出身の画家。

・日本美術学校に入学するも学費が払えず退学。以後、各地を転々としながら光風会や国画会に出品し、独自の地位を確立しました。

・60歳で始めた〈モノタイプ〉の技法に魅せられ、独学で大胆な作品を次々と生みだしました。

中村忠二《寒天と矢》1968年

   

■相澤美術館から引き継いだ作品群

・今回ご紹介する作品群は、かつて寺泊に存在した「相澤美術館」で収集されたコレクションです。

その中から、モノタイプの作品を中心に、56点をまとめてご紹介します。

中村忠二《メシ》1967年

   

■〈モノタイプ〉という版画

・ガラスや金属板に直接着色し、それを紙に転写する技法です。普通の版画のように複数枚の作品を刷ることはできません。

・通常の版画ではできない、筆触を残すことが可能です。

■大きな作品にも注目!

・作品の多くは小品です。しかし、中には1mほどもある大きな作品も。

 中村忠二はモノタイプの研究を重ね、忠二でなければできないといわれるほどの大作も生みだしました。

 


会期中展示替えがあります[前期:~11月15日(日)、後期:11月17日(火)~]

出品リスト(前期)(377KB)

出品リスト(後期)(380KB)

※画面上部の画像:佐藤哲三《帰路》1954年

基本情報

会期

2020年10月13日(火) ~ 2020年12月20日(日)

開催時間

9:00~17:00
券売は16:30まで

休館日

10/19(月)、26(月)、11/2(月)、9(月)、16(月)、24(火)、30(月)、12/7(月)、14(月)

観覧料

一般430円(340円)
大学・高校生200円(160円)
※中学生以下無料

会場

新潟県立近代美術館
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