ベルギーと日本 -光をえがき、命をかたどる

概要

 戦前、パリ留学が主流であった中で、少数ですが、ベルギーに留学した芸術家がいました。画家の太田喜二郎(おおたきじろう)と児島虎次郎(こじまとらじろう)、そして新潟出身の彫刻家・武石弘三郎(たけいしこうざぶろう)です。
 太田と児島は、ともにゲントの市立美術学校に通い、ベルギーの印象派の画家エミール・クラウスからも学びます。武石は、ブリュッセル王立美術学校を優秀な成績で卒業し、帰国後は肖像彫刻の第一人者として活躍しました。戦前の日本で「炭坑夫の彫刻家」として人気のあったベルギーの彫刻家、コンスタンタン・ムーニエの日本への紹介でも知られています。
 本展では、この3人の作家と彼らに関連するベルギーや日本の作家の紹介に加え、当時の印刷物や展示などにも着目しながら、戦前の日本におけるベルギー美術の受容について探ります。

主催:ベルギーと日本展実行委員会、新潟県立近代美術館 
共催:新潟日報社 
助成:(一財)地域創造 
後援:ベルギー大使館、新潟県教育委員会、長岡市、長岡市教育委員会、長岡新聞社、NCT、FM新潟77.5、FMながおか80.7


展覧会チラシ(1.32MB) プレスリリース(551KB)  出品リスト(809KB)


※学校向け団体観覧のご案内はこちら、障害者の方へのご案内はこちらをご覧ください。


関連イベント

リレートーク「つながる! 太田君と児島君と武石君」

太田喜二郎、児島虎次郎、武石弘三郎。仲の良い友人同士でもあった芸術家の作品を所蔵する3館の学芸員により、リレートークを行います。

日時:9月16日[土] 14:00~15:30(開場13:30) 
講師:目黒区美術館学芸員 山田真規子氏
高梁市成羽美術館学芸員 碇京子氏
当館学芸員 伊澤朋美
会場:当館講堂 定員:165名 
参加方法:申込不要、直接会場にお越しください。参加無料。

美術鑑賞講座「武石弘三郎の作品を訪ねる」

日時:10月7日[土] 14:00~15:30(開場13:30) 
講師:当館学芸員 伊澤朋美
会場:当館講堂 定員:165名 
参加方法:申込不要、直接会場にお越しください。参加無料。

ミニレクチャー&作品実地見学会「友情の双像」

※定員に達したため、キャンセル待ちを受け付けております。

武石弘三郎のベルギー留学を支援した、兄・貞松と、外交官・堀口九萬一。二人の友情を讃え、武石により制作され、中之島の若宮神社に設置された《友情の双像》を、ミニレクチャー後、現地にて見学します。

日時:10月21日[土] 10:00~12:00 
講師:当館学芸員 伊澤朋美
集合場所、ミニレクチャー会場:中之島コミュニティセンター(長岡市中之島800-1、アクセス方法は 長岡市のホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください)
見学場所:若宮神社(中之島コミュニティセンターから、貸切バスで移動します)
定員:20名(先着順) 
参加方法:お電話にてお申込ください(TEL: 0258-28-4111/受付時間 9:00~16:00/受付開始 8月22日[火] 9:00~)参加無料。

親子ふれあいデー

日時:9月24日[日] 9:00~17:00 *入館は16:30まで。
対象展:企画展「ベルギーと日本 ―光をえがき、命をかたどる」(※コレクション展は対象になりません)
内容:中学生以下の子を同伴する保護者の観覧料が無料になります。子ども1人につき保護者2人まで。

展覧会図録

ベルギーと日本展の展覧会図録を会期中、エントランス受付にて販売します(販売は16:30まで)。
全出品作品のカラー図版に加え、論考や「戦前の日本における近代ベルギー美術受容年表」など、内容も充実の1冊です。ぜひお手に取ってみてください。(2,500円(税込)、26×18.3×1.5㎝、167ページ。)
こちらからも目次などをご覧いただけます。

表紙

裏表紙

展示構成と主な出品作品

第1章 光をえがく : ベルギーの印象派絵画と日本

エミール・クラウス《冬の果樹園》1911(明治44)年 油彩・キャンバス 大原美術館蔵

太田喜二郎《赤い日傘》1912(大正元)年 油彩・キャンバス 新潟大学蔵

1 白馬会とウィッツマン
日本近代の洋画界を牽引した白馬会。同会の展覧会では海外作家の作品を展示することもあり、その中にはベルギー人画家、ロドルフとジュリエットのウィッツマン夫妻の絵画もありました。ロドルフ・ウィッツマンの作品と、中沢弘光による模写作品により、日本におけるベルギー印象派絵画受容の幕開けを紹介します。

2 太田喜二郎と児島虎次郎のベルギー留学
太田喜二郎は、師である黒田清輝の勧めによりベルギーに留学。児島虎次郎ははじめパリに向かいますが、馴染めず太田のいるゲントを訪れます。ここでは、二人が師事したジャン・デルヴァンと、ルミニスムの画家エミール・クラウスの作品を展示。そして太田と児島の留学中の作品や資料により、二人が切磋琢磨した軌跡をたどります。

3 日本の印象派
日本において印象派はどのように受容されていったのでしょうか。外光派の表現を日本にもたらした黒田清輝と久米桂一郎の作品、帰国後の太田と児島がベルギー印象派の影響を受けて描いた作品、太田・児島以外に印象派の影響を受けた画家として斎藤豊作(さいとうとよさく)と吉田苞(よしだしげる)の作品から、検証します。

第2章 命をかたどる : ベルギーの彫刻と日本

武石弘三郎《裸婦浮彫》1939(昭和14)年 大理石 当館蔵

コンスタンタン・ムーニエ《攪錬工》石膏着色 個人蔵

1 武石弘三郎のベルギー留学
新潟県南蒲原郡中之島村長呂(現長岡市)に生まれた武石弘三郎は、ブリュッセル王立美術学校にて彫刻を学び、優秀な成績を収めて卒業、帰国後は肖像彫刻の分野で活躍します。ここでは、武石が留学中のベルギーで隆盛を見せたアール・ヌーヴォーの影響を感じさせる大理石彫刻や、留学中の絵葉書資料などを展示します。

2 コンスタンタン・ムーニエの衝撃
戦前の日本において、ロダンに肩を並べる存在として広く紹介されたコンスタンタン・ムーニエ。炭坑夫をはじめとしたムーニエの力強い労働者像は、衝撃的に受け入れられ、その影響を受けた作品が数多く生まれました。荻原守衛、吉田三郎、藤井浩祐(ふじいこうゆう)らの作品から日本におけるムーニエ・ブームの様相を紹介します。

第3章 伝える・もたらす : ベルギー美術の紹介

ウジェーヌ・ラールマンス《小径》1918(大正7)年 油彩・キャンバス 大原美術館蔵

1 児島虎次郎によるベルギー美術の紹介
児島は画家として活躍しながら、パトロンであった大原孫三郎の命を受け、大原美術館のための作品収集に奔走します。児島が収集にたずさわったベルギーの作品や、児島の収集に協力したベルギー人画家との交流を紹介します。

2 ベルギーと日本の友好の証:戦災と震災のチャリティー展
第一次世界大戦の戦火に見舞われたベルギー、関東大震災で壊滅的なダメージを受けた東京。この二つの苦難に際し、日本はベルギーに対し、ベルギーは日本に対し、チャリティー展を開催し、義捐活動を行いました。外交や国際交流の観点から、ベルギー美術の紹介を取り上げます。

3 フェリシアン・ロップス:官能と諧謔
官能的かつ諧謔的な画題の版画を多く制作したフェリシアン・ロップス。戦前の日本でロップスの版画は度々紹介され、人気を博していましたが、一方で画集の発行は二度発禁処分を受けています。その官能性ゆえ愛され、排除された、ロップスの版画を紹介します。

4 瀧口修造とルネ・マグリット
高い人気を誇るシュルレアリスムの画家ルネ・マグリットは、戦前の日本においてどのように受容されたでしょうか。シュルレアリスムを積極的に日本に紹介した、詩人、批評家、画家でもあった瀧口修造の活動に着目します。

基本情報

会期

2023年09月16日(土) ~ 2023年11月12日(日)

開催時間

9:00~17:00 
※チケットの販売は16:30まで

休館日

9/19(火)、25(月)、
10/2(月)、10(火)、16(月)、23(月)、30(月)、
11/6(月)

観覧料

当日券:一般1,200円 (1,000円)
大・高校生1,000円 (800円)
※(  )は有料20名様以上の団体料金です。
※障害者手帳をお持ちの方は観覧料が免除になります。受付で手帳をご提示ください。

会場

新潟県立近代美術館
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