明治から昭和、平成にかけての日本女性の肖像や労働等の場面が表された作品から、大きな社会変化のあった時代を生きた女性たちの姿の様相を見るとともに、その時代背景を探ります。
【主な展示作品】
明治時代の農村の生活の一場面として、土間に座って糸を紡ぐ女性の姿が描かれています。画面の手前にはコマや張り子の犬などのおもちゃが描かれていて、日本の風俗を強調するような画家の演出がうかがえます。 |
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昭和初期頃のモダンガール(モガ)の姿を描いています。パーマネントをあて、ワンピースにネックレスを身に着けたモガはテーブルに肘をついて煙草を吸うなど、気だるい雰囲気を漂わせています。この頃の高村には、女性像に世相を託した作品を見ることができます。 | |
この作品について作者は、「読書している平凡な構図であるが、その自然なポーズが非常に美しいと思って描き始めた。本を読んでいる運動、姿勢といった造形美が、少しの無理もなく美しくにじみ出ているので、それを充分に表現したく、苦心している」と語っています。洋服の縦縞の印象的な色彩やウェーブのかかった髪型に当時の時代性をうかがうことができます。 |
【主な展示作品】
世界の美術
ビクトリア朝の中流階級の家庭の娘を、女性の魅力と少女の純真さを兼ね備えたものとして理想化して描いた少女像です。モデルはミレイの義理の妹で、しばしばミレイのモデルをつとめました。 |
日本の美術
作者は、広告やポスターに強い関心を示し、多数描きました。広告の原色と躍動する文字が、鉛色に沈む街角に彩りを添えています。感情をそのまま表すかのような文字の線は書の狂草体にも例えられ、作者の芸術の真髄ともいえます。
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新潟の美術
作者は、ゴッホやレンブラント、ドーミエなどに憧れを抱きながら独学で絵を描いていました。本作もゴッホやスーチンからの影響が感じられます。知り合いの郵便局員に寄せる人間的共感が作画の動機となったのでしょう。 |
みずみずしく、詩情豊かなイメージの世界を水彩とインクで描き出した難波田史男。かつて寺泊にあった相澤美術館では彼の記念室が設けられるほど、大切にされた作家でもあります。同美術館の所蔵品を引き継いだ当館の相澤コレクションより、初期から最晩年までの作品を一堂にご紹介します。
難波田史男(なんばた ふみお/1941-1974)
東京生まれ。父は画家の難波田龍起。1962年文化学院を中退し、制作に没頭。65年早稲田大学入学。67年初個展開催。71年第一回新鋭選抜展に出品。74年九州旅行の帰途、フェリーから転落し死去。享年32歳。今年は没後50年の節目にあたり、同じく難波田親子の作品を多数所蔵する東京オペラシティ アートギャラリーでも展覧会が開催される。
相澤コレクションより全点を展示
相澤コレクションには、史男が絵を描き始めて間もない学生時代から、亡くなるその年までの作品が網羅されています。前後期にわけて、そのすべてをご覧いただきます。
物語を想像させる、豊かなイメージの世界
難波田史男の作品の魅力は、線と色彩の融合にあると言われます。水彩絵具がにじみ、線が自由に飛び交う空間には、異形の登場人物たちが存在しています。彼らを通して、難波田のイメージの世界は、私たち観る者に物語を想像させるのです。
ただ、机の前に座って、白い紙の上に、線を走らせてゆく。それは不条理の線だ。色彩で、不条理の線の中から、美をほりおこしてゆく。色彩は愛なのだ。絵を描いている時、さまざまな想念が浮かぶ。浮かぶままに、ペンの下から、イメージを拾い上げてゆく。
「青春の思索」1970年 窪田般彌教授への提出レポートより
モノクロームの広がり
水彩画による清廉な印象の作品が並ぶ一方で、色数がおさえられたデッサンでは、線の表現や色の濃淡によって画面が構成され、彩色画とは異なる印象を与えます。没後に刊行された銅版画集『ある日の幻想』も、難波田の線描の多彩な魅力を伝えます。
※会期中展示替えを行います。
前期:4月12日(金)~5月19日(日) 後期:5月21日(火)~6月23日(日)
作品リスト(前期)(181KB)
作品リスト(後期)(445KB)
※画面上部の画像:高村真夫《女》1920年代後半(「日本女性の姿-労働と肖像」より)
2024年04月12日(金) ~ 2024年06月23日(日)
9:00~17:00
(美術館窓口での観覧券販売は16:30まで)
4/15(月)、22(月)、
5/7(火)、13(月)、
20(月)、27(月)、
6/3(月)、10(月)、
17(月)
一般430円(340円)
大学・高校生200円(160円)
中学生以下無料
※( )は有料20名様以上の団体料金です。
新潟県立近代美術館
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