2021年度 第3期

概要

展示室1・2「“ものがたり”をめぐって」

伝説や神話、物語を描いた作品、その背景に物語のある作品、そして物語を思わせる作品など、当館の所蔵品から物語に関わる作品を選びご紹介します。

■故事・神話のものがたり
昔話やことわざ、伝説や神話の内容を描いた作品を紹介します。

マックス・クリンガー《オヴィディウス「変身譚」の犠牲者の救済 XI(X) アポロンとダフネ(Ⅰ)》1879年(後期展示)

エロスが放った矢によって、アポロンはダフネに恋をしますが……。
この後の物語は、オヴィディウスの「変身物語」とは少し違ってくるのです。

 

 

■宗教のものがたり
聖書に出てくるキリストの物語や仏教の釈迦伝を描いた作品を紹介します。

桐谷洗鱗《釈尊一代記 第五巻 乳糜供養》1915年(部分/前期展示)

6年にわたる苦行をやめ、スジャータから乳粥(ちちがゆ)を施される釈迦。  

■物語さまざま
時間の経過を描く絵巻、歌舞伎の物語、絵本や小説の挿絵などを紹介します。

■背後に潜むものがたり
ここでご紹介する作品は、物語を描いたものではありませんが、作品の背後には、制作のいきさつや技法の誕生秘話など、ともすれば作者の人となりや人生そのものにさえ関わってくる物語が隠されています。
隠された秘話を知ることによって、より深く、作品を味わえるでしょう。

横山操《十勝岳》1962年

この作品が、作者横山操の生前に発表されることはありませんでした。
その理由となった物語は……?
 

■ものがたりの予感
物語を描いたわけではないけれど、どこか物語が始まりそうな、そんな作品をご紹介します。見る人の心持ちやそれまでの体験によって、きっとさまざまな物語が生まれるのでしょう。
描かれたもののセリフや場面の前後、奥に隠されたものの存在など、想像力をたくましくしてご鑑賞ください。

宮田宏平(三代藍堂)《終わりのない物語「世阿弥の流人箱」》1993年

作者三代宮田藍堂は、佐渡に生まれ制作を続けました。
佐渡に流刑となった申楽(さるがく・能の原型)の大成者 世阿弥と海岸への漂着物を重ね合わせているのでしょうか。
 

 

■高畑勲展開催記念 高畑勲が愛した画家

アニメーション映画監督の高畑勲は、美術に対する造詣が深く、美術に関する著書も多数あります。その著書『一枚の絵から』で紹介された画家の作品を、当館の所蔵品からご紹介します。

 

展示室3「田畑あきら子 火だるまのなかの白い道」

西蒲原郡巻町(現在の新潟市)に生まれ夭逝した田畑あきら子。当館所蔵の作品をまとめて展示し、画業を振り返ります。

田畑あきら子《作品》1966-67年

田畑あきら子 (たはた・あきらこ/1941-1969) 
新潟県西蒲原郡巻町(現・新潟市西蒲区)に生まれる。武蔵野美術大学卒業後、司書として勤務しながら制作を続ける。1968年、東京銀座のサトウ画廊にて最初で最後となる個展を開催。翌年、2度目の個展を準備中に体調を崩して帰郷。闘病の末、亡くなる。享年28歳。
没後、友人らの尽力により遺作展が数度開催。遺稿集も発行される。当館に作品収蔵後、『芸術新潮』の人気連載「気まぐれ美術館」に掲載され、全国的な知名度を獲得した。近年も国立国際美術館に油彩画が4点収蔵されるなど、評価がつづく画家である。

 

■近年ますます注目を集める画家・詩人、田畑あきら子
生前開いた個展はたった一度。それでも彼女の作品は、没後50年を経てもなお、人々を魅了し続けています。繊細な線、浮遊感のある形、彼女の作品はどこか観る人にセンチメンタルな気持ちを喚起させます。

田畑あきら子《作品№08》1964年(後期展示)

   

 

■白の世界へ ―最後の油彩画へ至る道のり
田畑の代表作といえば、白が印象的な油彩画。しかし初期の作品では鮮やかな色彩が目を引きます。彼女の中で自由に飛躍するイメージが次から次へと連なり、重ねられ、ときには文字すらも画面の中に現れます。紙を貼り合わせた作品や、花びらや葉が貼られた作品もあり、コラージュも特徴の一つです。本展では、初期作品から晩年、「オボロ線」や白い絵具が画面を占める油彩画へと至る、彼女の創作の過程をたどります。短い画業のなかで、濃密な創作活動が行われていた軌跡をご覧ください。

田畑あきら子《題不明(ノートより)》制作年不明(前期展示)

   

 

■所蔵作品、全て出します
当館前身の新潟県美術博物館時代、田畑の没後すぐに収蔵された素描、水彩画の作品は、彼女の創作活動の全貌を示す質・量ともに唯一無二のコレクションです。当館開館後に開催された個展を機に、そこに油彩画1点も加わりました。本展では、2期にわけてこれらの所蔵品を全点ご紹介します。さらに、本展では彼女が手書きでまとめた詩集や、1977年新潟県巻町で開催された遺作展以来、久しぶりの公開となる作品も展示します。


会期中展示替えがあります[前期:~10月24日(日)、後期:10月26日(火)~]

※画面上部の画像:菱田春草《放鶴》1904年(前期展示)(「“ものがたり”をめぐって」より)

出品リスト(前期)(286KB)

出品リスト(後期)(283KB)

基本情報

会期

2021年09月10日(金) ~ 2021年12月12日(日)

開催時間

9:00~17:00
券売は16:30まで

休館日

9月13日(月)、27日(月)、10月4日(月)、11日(月)、18日(月)、25日(月)、11月1日(月)、8日(月)、15日(月)、22日(月)、29日(月)、12月6日(月)

観覧料

一般430円(340円)
大学・高校生200円(160円)
※中学生以下無料

会場

新潟県立近代美術館
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