展示室1・2・3「近代美術館の名品」
当館の所蔵品の中から、展示室1は日本画、工芸、展示室2は油彩画、彫刻、展示室3は版画作品を選りすぐり紹介します。版画作品では、ジャポニスムの西洋版画と歌川広重の《東海道五十三次》を比較展示します。
展示室1 ~日本画・工芸~
―新たに見えてきた物語。 人間国宝も。
日本画は、江戸時代の作品から現代の作品までを一堂に展示します。
前期に展示が予定されている五十嵐浚明の《中国武将図屏風》では、これまで不明だった出典が江戸時代中期の絵手本『絵本写宝袋』であることがわかり、おぼろげではありますが、物語の輪郭が見えてきました。
《中国武将図屏風》 物語解説 (623kb)
後期展示では、中村岳陵の《嵐山朝陽・東山夕照》が登場。朝と夕方の光を、色彩を用いて美しく描き出しています。
また、郷倉千靱の《豊饒群雀》では、たわわに実った稲穂の光景が描かれます。おいしそうなコメを目当てにやってきた雀たちの描写にも注目してください。
その他、鏑木清方の歌舞伎を題材にした扇面画や、大矢紀がギリシャのミコノス島を取材した作品も展示されています。
工芸では、新潟県が生んだ二人の人間国宝(重要無形文化財保持者/三浦小平二、玉川宣夫)の作品を展示。巨匠の巧の技をご覧いただきます。
展示室2 ~油彩画・彫刻~
―近代洋画の巨匠が、柏崎の素封家を描く
こちらも、近代西洋絵画の名品、日本洋画の黎明期から現代の作家まで、新潟県の作家の作家も含め、幅広く網羅しています。
バルビゾン派の画家の一人に数えられるコローの作品《ビブリ》では、実景の写生を基盤とした風景に神話の物語が描かれています。
日本政府に雇われ来日したフォンタネージ、彼に学び画塾を通じて日本に洋画を広めた地元出身の小山正太郎、小山に学びながらもその後学んだ黒田清輝の外光派風の作品を描いている青木繁の《妙義山》などもご覧ください。
夭折でありながら、日本洋画史の中では燦然と輝く中村彝の作品も見どころです(画面上部の画像)彝は茨城県の出身ですが、描かれているのは新潟県柏崎の人物洲崎義郎であり、本県ゆかりの画家といってよいでしょう。洲崎の精悍な顔つきのみならず、深みのある色彩と揺るぎない堅牢な構成が魅力です。ロビーに展示された國領經郎《女医さん》は、洲崎義郎の次女を描いたもので、親子での登場となります。
その他、新潟県の画家では、田中道久や関屋俊彦の作品も展示いたします。
彫刻では、ふくよかな彫刻で知られるボテロの《顔》、大理石彫刻の第一人者として知られた新潟県ゆかりの作家北村四海の《空想に耽り居る女》などをご紹介します。
展示室3 ~版画~
―浮世絵と西洋版画 違いが見える展示
当館の主立ったコレクションのひとつに〈ジャポニスムの版画〉がありますが、これを何点かピックアップし、皆さんご存じの《東海道五十三次》との比較を試みます。日本の浮世絵とその影響を受けた西洋の版画を二点ずつ比較することで、新たな発見をすることができるでしょう。浮世絵の影響を受けているといっても、空間の捉え方は西洋人の感覚で描かれていますので、その違いを楽しむこともできます。
たとえば、こんな比較。
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広重からリヴィエールへの影響が最もわかりやすい作例です。一見するだけで《満月》が《沼津》の中央1/3を換骨奪胎した作品であることがわかります。細部を眺めるとより明確です。中央の満月だけでなく、その木の下にかかる雲、逆「く」の字の道、月を遮るように配された、上に伸びる木々、何かを背負う後ろ向きの人物など、類似面を発見できます。リヴィエールによる、単純な模倣例は他にあまり見られませんが、『五十三次』の中で、満月が描かれた作品は本作のみのため、その影響が色濃く現れたとも言えます。
※当初予定していた「田畑あきら子 火だるまの中の白い道」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、開催を延期いたします。
会期中展示替えがあります[前期:~8月16日(日)、後期:8月18日(火)~]
※画面上部の画像:中村彝《洲崎義郎氏の肖像》1919年
出品リスト(前期)(312kb)
出品リスト(後期)(320kb)
2020年06月23日(火) ~ 2020年10月04日(日)
9:00~17:00
券売は16:30まで
6/29(月)、7/6(月)、13(月)、20(月)、27(月)、8/3(月)、17(月)、24(月)、31(月)、9/7(月)、14(月)、23(水)、28(月)
一般430円(340円)
大学・高校生200円(160円)
※中学生以下無料
新潟県立近代美術館
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