堀口大學展トークショーを行いました!

2017年12月05日

本日は快晴の一日。堀口大學のご長女・すみれ子さんによると、詩人である父・堀口大學は晴れ男だったとのことで、まさに「大學晴れ(だいがくばれ)」だそうです。

FM新潟パーソナリティの中村智景さんの司会により、堀口すみれ子トークショー「堀口大學は誰が育てたか」(NPO法人ながおか未来創造ネットワーク主催)が始まりました。

すみれ子さんご自身も詩人。一つ一つ言葉を丁寧に選びながら話されました。

会場はほぼ満席。和やかな雰囲気に包まれました。

前半は、現在長岡市立中央図書館で開催中の「詩人 堀口大學と長岡展」にちなんだ話が中心となりました。外交官として活躍した大學の父・九萬一(くまいち)や、働き者の祖母・千代の話、そして長岡で過ごした大學の少年時代の想い出を、興味深いエピソードとともに語っていただきました。

トークの後半は、近代美術館の「美と文学の探索者 堀口大學展」へと移っていきます。堀口大學は、与謝野晶子と鉄幹を詩歌の上の父母として生涯敬愛してやまなかったそうです。今回の展覧会では、堀口大學旧蔵で、これまで全集にも一度も公刊されたことがないという与謝野夫妻の貴重な恋文が展示されています。

また、親友・佐藤春夫の形見の品である二顆の陶印についても、ドラマチックなエピソードが紹介されました。一つは森鷗外遺愛で鉄幹旧蔵の「ゆめみる人」。もう一つは鉄幹遺愛の「永く相思う」。二つの陶印はともに、鉄幹の形見として佐藤春夫に譲られるはずでしたが、「永く相思う」の方が堀口大學に譲られ、佐藤春夫は誰にも言い出せずにいたところ、それを知った大學が、自分が戴いた「永く相思う」の陶印を快く友に譲ったのだそうです。

その他、版画家長谷川潔との友情や、フランスの詩人・画家ジャン・コクトーとの親交についてもスライドを見ながらいきいきと語られました。芸術家たちの魂が共鳴する光景が彷彿とするようでした。

コクトーが堀口大學のために描いた直筆デッサン。今回は、25点もの見事なデッサンが会場に展示されています。

最後に、すみれ子さんによって、故郷新潟にちなんだ詩「雪国」「母の声」などが朗読されました。なかでもラストを飾った「そして今」という最晩年の詩は、越後の自然に対する深い思いをうたった美しい一編です。すみれ子さんの父を思う温かい気持ちも重なって、会場はしんと静まりかえりました。ゆっくりと澄んだ声によって、聴く人の心に詩が染みこんでいきました。

満場の拍手とともに、一時間半のトークが終わりました。詩の余韻に浸りながら、もう一度展示室に足を運ばれた方も多く見られました。堀口すみれ子さん、素晴らしいお話しをありがとうございました。

ふるさと新潟への思いのこもった詩が朗読されました。

「堀口大學展」は1月8日(月・祝)までです。次回のイベントは12月9日(土)午後2時より、美術鑑賞講座「友情の双像と武石弘三郎」です。また、長岡市立中央図書館にて開催中の連携企画「詩人・堀口大學と長岡展」は12月10日(日)まで。ぜひお早めにご覧ください。