「Viva Video! 久保田成子展」で当館の濱田真由美主任学芸員が第32回倫雅美術奨励賞を受賞しました。

2021年11月22日

 本年3月20日より当館ではじまり6月6日まで開催した「Viva Video! 久保田成子」展は、その後、国立国際美術館(6月29日~9月23日)に巡回し、現在、東京都現代美術館(11月13日~2022年2月23日)で開催されていますが、そのさなか、嬉しいニュースが入ってきました。本展の企画およびカタログ中の論文が「第32回倫雅美術奨励賞」の美術評論部門を受賞したのです。

 倫雅美術奨励賞は美術研究者であり、京都国立近代美術館長や横浜美術館長を歴任、また美術評論家連盟を結成、同会長もつとめた河北倫明氏の財源の提供を受けて、平成元年に発足したもので、優れた新鋭の美術評論家、美術史研究家および美術家の活動に対する顕彰として送られるものです。

 受賞理由にあたる講評として、「作家として活動するために若くして米国に渡った久保田成子(1937-2015)は彼の地での活動が中心で、また彫刻から先鋭的なヴィデオ・アートに向かった彼女を正当に評価する機運も日本では熟さず、これまで取り上げられることが多くなかった。今回の展覧会は、早い時期から彼女の活動に注目し、長い時間をかけて調査を続け、多くの作品や資料に真摯に向き合ったその姿勢を結実させたものであり、またそのカタログは、作家自身の言葉と共に短いながらも多くの関係者による文章や未公開のインタビューなどを交えて資料的な価値も高い。早熟な作家の、晩年までの仕事を丁寧にまとめ上げたことにより、今後の美術史研究に与える影響が大きいといえる」と述べられています。

 今回の美術評論部門では、この「Viva Video! 久保田成子」展に携わった当館の濱田真由美主任学芸員をはじめ、国立国際美術館の橋本梓主任研究員、東京都現代美術館の西川美穂子学芸員、ニュージャージー・シティ大学の由本みどり氏の4人が受賞しました。なお、献呈式は12月21日に都内の日本工業倶楽部で開催されます。

 当館で本展を見逃されたという皆様、来年2月23日まで東京都現代美術館で開催中です。詳しくはこちらをご覧ください。

「Viva Video! 久保田成子展」のチラシとカタログ表紙(河出書房新社刊)