2018年12月26日
当館で今後開催が予定されている展覧会の作品調査のため、ポーラ美術振興財団の助成金でニューヨークへ行ってきました。滞在中は週末も関係なく、毎日朝から晩まで調査に明け暮れていたため、観光らしいことはほとんど何もできませんでしたが、いくつか展覧会を見ることができたので、それについてご報告したいと思います。*
まずは、2015年にアッパーイーストサイドからチェルシーに移転したホイットニー美術館です。仕事の後、22時までの夜間開館を狙って行ったのですが、20時近くだったにもかかわらず、ものすごい行列ができていました。彼らのお目当ては「アンディ・ウォーホル展」。アメリカで約30年ぶりに開催される大回顧展とあって、もちろん質量も充実していましたが、なんといってもすごい混雑でした。やはりウォーホルは、どこにいっても人気があるのですね。同館では他にも「Programmed: Roles Codes, and Choreographies in Art, 1965-2018」というコレクションによる企画展が開催されており、ナムジュン・パイクの《Fin de Siècle II》(1989年)が大修復され展示されるなど、とても見応えのある内容でした。
このほかには、グッゲンハイム美術館で開催中だったスウェーデンの神秘主義の女性画家「ヒルマ・アフ・クリント」展やニューヨーク近代美術館(MoMA)とPS1で同時開催されていた「ブルース・ナウマン」展も観に行きました。前者は、日本ではお目にかかることのできないヒルマの作品をまとめてみられる絶好の機会で、大いに興味をそそられました。またナウマンについては、MoMAとPS1が共通で一人の作家の個展を行った例はこれまでないらしく、かなり大規模な回顧展でした。ニューヨーク以外では、日帰りで訪れたフィラデルフィアで、2012年に町の中心部に移転したバーンズ・コレクションを観ることができました。もともとコレクションが有名な美術館ですが、新館では特別展(この時は「ベルト・モリゾ」展を開催中でした)も併設されるようになり、一層充実した内容となっていました。とはいえ、入館料は一般30ドル(約3500円)!MoMAも25ドルと、お値段もそれなりではありました。
(主任学芸員 濱田真由美)
*調査自体の報告については、今年度末に発行予定の研究紀要に掲載予定です。