学芸日誌④ 改修工事中の仕事

2018年11月20日

 美術館は改修工事で休館させていただいていますが、職員は普段できないでいた仕事をいろいろとこなそうと忙しくしています。私は、工事関連の他は、締め切りに追われてできなかった図書資料整理に、目下勤しんでいます。
 展覧会で皆さんに作品をご覧いただくため、その調査・研究では図書資料類での下調べがかかせません。図書館同様、利用しやすいようにまずは図書資料整理。美術図書や雑誌はもちろん、全国の美術館発行の図録や年報、研究紀要、オークションや古書の売立目録等々、毎日のように様々届きます。これを美術館で活用できるか、できないか仕分けし、書庫に配架していきます。ただ単に並べるだけでなく、分野を分け、分野の番号を振り、類似の資料が同位置に並び、他の学芸員が利用しやすいようにしています。
 もちろんこの作業は、図書館でなら日常茶飯事のこと。資料分類は国立国会図書館をはじめ、都道府県立図書館でも市町村立でも方法の違いはあれ、司書の方々なら資格要件として分類法を履修し単位取得しなければならないこと。
 この点、学芸員は、資格要件に資料分類は入っていません。今日、美術館に学芸員だけでなく、司書や修復家、レジストラー、エデュケーター等々、様々な専門用務で細分化した職務を任される美術館も多くなってきましたが、当館はまだまだ学芸員一本です。ですので、図書の資料分類についてなかなか理解してもらえていない感があります。図書館まで細分化された分類ではなく、極力簡便にし、ラベルの色分けもして、同じ分野なら色も同じというように見た目でも判るようにして整理配架しています。
 しかし、時々、違う色のラベルの本が入っている時があります。「誰だこれは!」と思いますが、だいたい利用している本で誰が使ったか正体は推測できますが。 松矢国憲(専門学芸員)