1978年に発足した公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(略称JAGDA)は、現在、会員数約3,000名を誇るアジア最大規模のデザイン団体として、年鑑『Graphic Design in Japan』の発行や展覧会・セミナーの開催、デザイン教育、公共デザインや地域振興への取り組み、国際交流など、デザインによるコミュニケーション環境の向上のために様々な活動をおこなっています。
重要な活動の一つとして、JAGDA初代会長・亀倉雄策(新潟県燕市出身)の生前の業績をたたえ、1999年、遺族の寄付により創設された「亀倉雄策賞」の運営と選考があります。この賞は、グラフィックデザインのさらなる発展をめざし、毎年『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者に贈られます。
第25回となる今回は、岡崎智弘の放送局の番組コンテンツ映像「デザインあneo あのテーマ」、および三澤遥の幼稚園のサイン計画「⽟造幼稚園」がそれぞれ選ばれました。
岡崎の作品は、「あ」の一文字と白い紙のみを素材とした、放送局の番組コンテンツ映像。選考委員からは「コマ撮りアニメーションというありふれた手法を深く追求し、他の追随を許さない領域に達して世界にも類を見ない」「イメージがどのような視覚体験として伝わるかというグラフィックデザインの原点を感じさせる」などと評されました。
また三澤の作品は、円筒形を駆使した立体造形と独特の配色による、幼稚園のサイン計画。「この数年、高いレベルで受賞を競ってきた三澤の仕事に共通するデリケートさを持った作品」「今回はさらに新たなデザインの切り口を発見し定着させた仕事で、表現の幅の広さを見せた」などの評価を得て、亀倉雄策賞としては初めてとなる2作品の同時受賞が決定しました。
この受賞を記念して、東京で開催された両名の個展を再編成し、ここ新潟にて開催いたします。世界に誇る日本のグラフィックデザインの現在をぜひご覧ください。
会場:新潟県立近代美術館 2Fギャラリー(新潟県長岡市千秋3-278-14)
会期:2023年10月9日(月・祝)〜22日(日)
開催時間:9:00-17:00
休館日:10月10日(火)、16日(月)
観覧料:入場無料
主催:長岡造形大学、新潟県立近代美術館、公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)
協力:クリエイションギャラリーG8、亀倉雄策賞事務局、JAGDA新潟地区、新潟アートディレクターズクラブ
日時:2023年10月9日(月・祝)12:45-14:30
講師:岡崎智弘、三澤 遥
会場:長岡造形大学 大講義室(定員160名/聴講料無料/要事前申込/12:15開場)
申込方法:聴講希望の方は、Googleフォームからお申し込みください。
https://forms.gle/u6KikpwgmTuNkmh5A
申込締切:10月4日(水)正午
講演会に関するお問い合わせ:長岡造形大学 教務課 Tel 0258-21-3351 Email gakumu@nagaoka-id.ac.jp
展覧会に関するお問い合わせ:新潟県立近代美術館 Tel 0258-28-4111
1981年神奈川県生まれ。2003年東京造形大学デザイン学科視覚伝達専攻を卒業。広告代理店、デザイン事務所勤務を経て、2011年9月よりデザインスタジオSWIMMINGを設立し活動。グラフィックデザインの姿勢を基軸に、印刷物/映像/展覧会など視覚伝達を中心とした領域を柔軟に繋ぎながら、仕事の規模を問わず、文化と経済の両輪でデザインの活動に取り組んでいる。デザインの仕事は、自分が知らない世界や事象と向き合う機会となることや、人や社会と繋がる行為となること、また世界の捉え方や構造を発見し関与することができるものであり、その可能性に大きな魅力を感じている。
https://www.swimmingdesign.com/
第25回亀倉雄策賞 受賞作品=放送局の番組コンテンツ映像「デザインあneo あのテーマ」(クライアント:NHK)
1982年生まれ。武蔵野美術大学卒業後、デザインオフィスnendoを経て、日本デザインセンター原デザイン研究所に所属。2014年より三澤デザイン研究室として活動開始。ものごとの奥に潜む原理を観察し、そこから引き出した未知の可能性を視覚化する試みを、実験的なアプローチによって続けている。主な仕事に、水中環境を新たな風景に再構築した「waterscape」、かつてない紙の可能性を探求した「動紙」、国立科学博物館の移動展示キット「WHO ARE WE」、隠岐ユネスコ世界ジオパークの泊まれる拠点「Entô」のアートディレクション、上野動物園の知られざる魅力をビジュアル化した「UENO PLANET」がある。
第25回亀倉雄策賞 受賞作品=幼稚園のサイン計画「玉造幼稚園」(クライアント:玉造幼稚園/ジャクエツ)
1997年に急逝した亀倉雄策の生前の業績をたたえ、グラフィックデザインの発展に寄与することを目的として、1999年に遺族の寄付により創設。亀倉が設立から長く会長を務めた公益社団法人日本グラフィックデザイン協会(JAGDA)に運営を一任し、毎年、年鑑『Graphic Design in Japan』出品作品の中から、最も優れた作品とその制作者を表彰する。また、「亀倉雄策国際賞」では、富山県立近代美術館で開催される「世界ポスタートリエンナーレトヤマ」の応募作品の中から、国際性と普遍性の高い、優れた作品とその制作者を表彰した(2015年に終了)。「いつになっても東京オリンピックの亀倉と呼ばれること」を嫌い、亡くなる直前まで「今」の仕事で若い世代と競い、グラフィックデザイン誌『クリエイション』の編集を通じて、グラフィックデザインの芸術性、本質を追求した亀倉の遺志を尊重し、普遍性と革新性をもったグラフィックデザインを顕彰していく。
第1回 田中一光/第2回 永井一正/第3回 原 研哉/第4回 佐藤可士和/第5回 仲條正義/第6回 服部一成/第7回 勝井三雄/第8回 受賞者なし/第9回 松永 真/第10回 佐藤 卓/第11回 植原亮輔/第12回 浅葉克己/第13回 受賞者なし/第14回 澁谷克彦/第15回 平野敬子/第16回 葛西 薫/第17回 佐野研二郎/第18回 三木 健/第19回 渡邉良重/第20回 中村至男/第21回 色部義昭/第22回 菊地敦己/第23回 田中良治/第24回 大貫卓也
1915年4月6日新潟県生まれ。1933年日大二中を卒業し、太田英茂主宰の共同広告事務所に勤務。1938年日本工房に入社し、『NIPPON』や『カウパープ』など対外宣伝誌のアートディレクションを手がける。1951年日宣美設立に参画。1960年日本デザインセンター設立に参画し専務取締役となるが、1962年に独立して亀倉デザイン研究室を設立。朝日賞、毎日芸術賞をはじめとする内外の多くの賞を受賞。1980年紫綬褒章受章、1991年文化功労者に選ばれる。1993年ニューヨークADCの“Hall of Fame”(殿堂)入りを果たし、1994年ワルシャワ美術アカデミー初の名誉博士号を授かる。日本グラフィックデザイナー協会(現・日本グラフィックデザイン協会)会長を1978年設立時より16年務めた。1997年5月11日急性肺炎のため永眠。日本グラフィックデザイン史を築きあげたパイオニアであり、世界が注目するデザイナーであった亀倉氏は、82年の生涯の幕を閉じるまでに常にトップを走り続けた。代表作には、東京オリンピック、大阪万博、名古屋デザイン博、「ヒロシマ・アピールズ」のポスターや、グッドデザインマーク、NTT、明治製菓、ニコン、ヤマギワ、プリンスホテルのシンボルマーク・ロゴタイプがある。