県内各地の寺社等では、古代から近世にいたるまでの優れた仏像が大切に守られてきました。これらは、それぞれの地域で引き継がれてきた信仰のありさまを伝えるばかりでなく、日本の仏教美術史のなかで新潟がどのような位置を占めてきたかを物語る重要な証言者ともなっています。
本展は、仏像研究を専門とする水野敬三郎館長の監修により、国指定重要文化財・県指定文化財を中心とする仏像の名品約80点を一堂に展観するものです。地元に残る貴重な仏像を総覧できる、またとない機会となるに違いありません。平成16年10月に発生した新潟県中越大震災は、中越地方を中心に甚大な被害をもたらし、復興へむけた県民の努力が今なお続いています。人々の祈りを受けとめてきた仏像の並ぶ本展が、被災した方々への励ましとなれば幸いです。