明治から大正の日本洋画界の中心的存在として、多大なる影響と功績を残した洋画家・黒田清輝(1866-1924)。フランス留学後、わが国に明るく清新な外光表現による新風を吹き込み、いわゆる旧派に対する新派の中核として、久米桂一郎らと結成した白馬会は、明治洋画壇の主流を占めることになります。その後、洋画家としては初の帝室技芸員、貴族院議員当選、そして第2代帝国美術院長への就任など、後半生は美術行政家としても活躍しました。
没後、遺言により創設された美術研究所を継承する東京文化財研究所には、黒田の数多くの遺産が保管されるとともに、それらは同研究所内の黒田記念室に陳列されています。
本年は黒田の没後80年にあたりますが、重要文化財の《湖畔》と《智・感・情》をはじめとする東京文化財研究所の所蔵品を中心として、油彩画、デッサン、写生帖など初期から晩年にいたる近代日本洋画の巨匠・黒田清輝の画業を約160点によって展観いたします。新潟では実に30年ぶりの黒田清輝展の開催となります。