1926年に佐渡に生まれた宮田宏平は、家伝の蝋型鋳造技術を基礎に、卓抜な構想力と斬新な造形力を発揮して、現在も旺盛に作品の発表を続けています。1943年東京美術学校に入学した宮田は在学中に日展に入選、翌年には特選を受賞して、戦後工芸界の新世代として頭角を現しました。その後は日展および日本現代工芸美術展を中心に、工芸革新の時代を担ってきました。1980年代からは「終りのない物語」と名づけられたシリーズがはじまり、アクリルや絹糸など金属以外の素材も使用して、光と色彩に溢れた作品が生まれます。1993年には三代藍堂を襲名しました。また、蝋型鋳造の特質を最大限に引き出して作られた指輪やブローチは、その流麗な意匠と豊かなイメージによって高い評価を受けています。
展覧会は日展初入選から最新作までの作品にアクセサリーを加えた約180点により、半世紀に及ぶその創作活動をふり返ります。様々な面を併せ持つ宮田作品の変遷と、蝋型鋳造による立体造形の魅力をご紹介いたします。