生誕110年記念 広川松五郎/高村豊周展
近代工芸誕生の時代から

概要

広川松五郎は明治22年(1889)現在の新潟県三条市に生まれ、東京美術学校図案科に学び、また高村豊周は明治23年(1890)東京に生まれ東京美術学校鋳造科に学びました。高村は美術学校時代、文芸活動も行い、特に歌を詠むことに惹かれ美術学校の校友会月報の歌の欄にペンネームで発表を続けていました。そんな彼は毎号、菽泉という名でうまい歌を出している人が気になり出します。彼こそが与謝野鉄幹・晶子主宰の『明星』に関わっていた広川松五郎でした。それが機会となり、二人は長きに渡り交遊を持つことになります。広川松五郎は染織・図案、高村豊周は金属工芸という違いはありましたが、彼らは共通して工芸は工業製品のための優れたプロトタイプになるべきと捉え、お互いに刺激をし合いながら、ともに日本の近代工芸のために尽力したのです。その意味ではまさにデザイナーとしての視点を有していたと言っても良いでしょう。しかし、彼らの足跡は今まであまり省みられることはありませんでした。本展では現在確認し得る広川松五郎の作品と高村豊周の各時代を代表する作品を中心に構成しました。また、彼らの良き師であった津田信夫をはじめとして、彼らと共に近代工芸の確立を目指した工芸グループ「无型」(むけい)や「実在工芸美術会」などの作家の作品も併せて展示いたします。これにより、近代工芸の一端を紹介することになればと考えます。尚、本年は広川松五郎、高村豊周共に生誕110年にあたり、その意味においても日本の近代工芸界に名を残した二人の作品を振り返る良い機会であると言えましょう。

基本情報

会期

2000年04月15日(土) ~ 2000年05月28日(日)

会場

新潟県立近代美術館
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