1981年、中国陝西省(せんせいしょう)西安市の西方110キロにある「法門寺」(ほうもんじ)の塔が台風で崩壊した。87年に再建に伴う塔基部の発掘調査で、唐時代の地下石室(地宮)が現れ、その前室、中室、後室からは金銀器、ガラス器、八重の金銀の箱に収められた仏骨、青磁器、宮廷茶器、絹織物などの文物が大量に発見された。「法門寺」は、インドのアショーカ王が分骨したと伝える釈迦の真身舎利(仏骨)を納める寺として、唐以前から盛名を得ていた。唐時代でも歴代の皇帝の厚い信仰を得、唐末(873年)の僖宗(きそう)皇帝によって、地下に奉納された宝物が今回発見された品々である。これらの豪華な奉納品は埋蔵後に続く唐の滅亡という激動の中で人々の関心から消え、時の流れの中で今日まで永い眠りについたのである。本展は、今回の出土品によって初めて確認された幻の磁器・秘色青磁、遣唐使も将来したと考えられる喫茶法を伝える唐代の茶道具、仏骨が入っていた金銀の舎利容器、当時の唐皇室の様子を偲ばせる華やかな金銀器など、法門寺出土の文物70件を中心に唐代文化の精華を加え120件によって紹介する。本展は、法門寺で発見された至宝を公開する海外初の展覧会となる。