日本美への憧憬 工芸のジャポニスム展
世紀末ヨーロッパのメタモルフォーゼ

概要

19世紀の後半、様々な経路でヨーロッパに渡った日本の美術品は、ヨーロッパの美術、工芸、建築、写真など文化全般に大きな影響を与えました。例えば、版画家フェリックス・ブラックモンが友人である版画家ドラートルの家で日本から送られてきた陶器の詰め物として「北斎漫画」を発見し、衝撃を受けた話は特に知られています。この後、ブラックモンをはじめとして、多くの当時のデザイナーは北斎等の絵図を工芸品に引用するようになりました。このように、ロマン主義から写実主義へ、そして印象派から象徴主義、世紀末美術へという激動の時代の中で、日本の美術はそれまで西洋に知られていなかった美術の可能性を提示し、多くの芸術家を惹きつけ、彼らの新しい創造の源泉となりました。「ジャポニスム」と呼ばれるこの文化現象は、その後の西洋美術の発展と革新につながっていきます。この展覧会は、美術の概念としてのファイン・アートの面からのアプローチが常であった「ジャポニスム」というものを、ブラックモンの例からも見られるようにデザインを含むデコラティヴ・アートの面から探ろうとする日本で初めての試みとなります。日欧間の芸術交流史上画期的なこの「ジャポニスム」を、当時のヨーロッパの人々の日本美への憧憬と愛着を感じさせるジャポニスムの工芸とそれらに影響を与えた幕末、明治の華麗な日本工芸併せて約200点で振り返ります。日本美術の装飾性、デザイン性が、ヨーロッパの美術工芸品にいかに受容され、また変容《メタモルフォーゼ》させていったのかを海外からの出品作品を中心に展観いたします。

基本情報

会期

1998年04月17日(金) ~ 1998年05月24日(日)

会場

新潟県立近代美術館
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