現代日本を代表する書家、江口草玄。1919年刈羽郡西中通村(現柏崎市)に生まれ、戦後、封建的な既成の書道団体に決別し、書の革新に身を投じます。津高和一、吉原治良など、関西のモダンアート作家たちとの交流や美学、哲学の中に書の確固たる理論づけをすすめていく中で、次第に書の固有の意義、「ことばの姿」を書くことであることを自覚し、以来、書本来の文字による作品を現在まで制作しています。展覧会では、墨人会結成前の作品から最新作まで87点の作品と、1950年代、現代美術懇談会(ゲンビ)やモダン・アート・フェアなどの研究会、展覧会などを通して一緒に語り制作された、書・絵画・彫刻・工芸などの作品46点を併せて展示します。戦後、新しい価値観が模索された状況の中に居合わせた江口氏が、書道界の流れに一線を画し、いかに書の本来たる姿とする「ことばの姿」を掴むにいたるか、書家江口草玄の゛書の革新″の様をご覧ください。