金鈴社は大正5年(1916)に鏑木清方(かぶらききよかた)、吉川霊華(きっかわれいか)、結城素明(ゆうきそめい)、平福百穂(ひらふくひゃくすい)、松岡映丘(まつおかえいきゅう)の五人の中堅作家によって結成された日本画の団体です。大正6年に第1回展を開催した後、同11年にいたるまで7回の展覧会を開催し、その幕を閉じました。大正期は日本が明治以来の近代化の道を進む中で個性の伸長が図られ、「大正デモクラシー」の言葉でも表されるように一種独特な雰囲気をもった時代です。五人は、当時の文部省美術展覧会(文展)に身を置きながら、金鈴社において日本画の自由な研究と個性の確立を目指し作品を発表しました。そして五人は次に設置された帝国美術院展覧会(帝展)を代表する作家となりました。本展は、作家達が新しい創造を目指して模索した日本画の本質と意義を再確認しようとする展覧会で、約100点の作品で構成されています。