「表現主義」は20世紀初頭のドイツを核として展開した、美術・小説・演劇等にまたがる芸術運動です。そこでは近代社会が抱える矛盾と不安から目をそむけることなく人間の本質が追求されていき、中でも表現主義「美術」は色彩や形態の力強さ、内容の社会性・精神性によって広く知られています。これまでにも表現主義美術に関する展覧会はしばしば開催されてきましたが、彫刻作品がまとめて紹介される機会は殆どありませんでした。今回は1890年から1920年までという表現主義美術の揺籃期から全盛までを、日本未発表作品を含む彫刻を中心に据えて再検討し、それらが今日の美術にまで及ぼしてきた造形精神の源流を探ります。出品作品数は、絵画・版画を加えて約140点です。