大正の美と心 中村 彝 展

概要

大正の洋画を代表する画家中村彝の回顧展を開催いたします。レンブラントに傾倒した自画像、ルノアール風の色彩美と生命感に溢れた女性像、畢生の肖像画の名作《エロシェンコ氏の肖像》などで名高い中村彝は、彼の遺稿集『芸術の無限感』所載の多数の書簡でも知られるように、越後柏崎の素封家洲崎義郎との交流を通じて、新潟とも縁の深い画家でした。その一例として、彝の最初の個展が郷里の水戸でも東京でもなく、柏崎の地で1920年(大正9)11月に開催され、地元の愛好家を魅了したと伝えられています。当館ではこのような彝と洲崎を中心とした越後の人々との交流の証というべき肖像画の名作《洲崎義郎氏の肖像》(1919年)を平成6年に収蔵、展示することができました。これを機に、あらためて初個展出品作品を中心に、中村彝の代表作を集めた回顧展を新潟の地で開催し、広く画業を紹介いたします。あわせて、彝から洲崎に宛てた未公開の書簡も展示し、若き芸術家と若きパトロンとの感動に満ちた交流の一端にも触れていただきます。病躯をおして、求道者のごとく生命の構図に悠久なる芸術世界を求め続けた彝の絵画に大正の美を、そして又、精神的血縁と呼びたくなるような二人の間に立ち上がった人間風景が展開する書簡に大正の心を感じていただきたいと思います。

基本情報

会期

1997年11月01日(土) ~ 1997年12月14日(日)

会場

新潟県立近代美術館
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