没後40年 佐藤哲三展

概要

没後40年を記念して新潟県を代表する洋画家、佐藤哲三の回顧展を開催いたします。佐藤哲三(1910-54)は長岡に生まれ、新発田に育ち、蒲原平野に生きた郷土の画家です。昭和の初期、発足まもない国画会展にゴッホ風の素朴ですが、瑞々しい造形感覚にあふれた作品を発表、連続して最高賞を受賞しました。一躍、画壇の注目を集めるところとなり、上京を勧める人もあったといいます。しかし、彼は「美術の中心地」に背を向け、むしろ町から村に移り住み、豊かな才能に恵まれながらも、終生蒲原の地にとどまって、北国の風土とそこに住む人々の係わりをヒューマンな筆致で描き続けました。風土に培われた独特の自然感覚を湛えた静物画、温かな眼差しから生まれた人物画。そして北国人共通の自然観照に根ざした象徴性に富む風景画など、生来の病苦を乗り越え制作された作品の数々は、中央とは別に展開した「地方の美術」の豊かな価値を確かに伝えるものといえましょう。本展覧会では多様な展開を遂げた昭和の洋画を背景に、自己形成と創造活動の空間を郷土に求め続けた画家の30年にわたる画業を油彩100点、素描20点で紹介します。深い人間愛、郷土愛から生まれた作品は、必ずや多くの方々の心に感銘を呼び起こすものと期待いたします。

基本情報

会期

1995年02月10日(金) ~ 1995年03月26日(日)

会場

新潟県立近代美術館
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