良寛と巻菱湖
越後が生んだ幕末の二人の書人

概要

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巻菱湖《漢詩》(部分) 当館蔵

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良寛《漢詩「風気稍和調」》(部分) 個人蔵 重要文化財
 

 江戸時代末、越後(新潟県)には二人の書人が輩出されます。一人は良寛(1758―1831)、もう一人は巻菱湖(1777―1843)。
 良寛は、出雲崎に生まれ、禅僧として生涯、庵を構えず過ごしました。飄逸なその書は、所縁の地元の各家で大事にされ続け、その独自性が高く評価され、今日珍重されています。
 一方、巻菱湖は、巻(現新潟市西蒲区)に生まれ、鎧潟付近で遊んだと言われています。書家となってからは、門弟一万人と言われ、その書風は、全国を風靡しました。江戸時代、公式書体として御家流が盛んな中、菱湖は書の源流である中国の書論に精通し、それに基づいた唐様の書を書き、一時代を作った書家です。後年その書は、明治期の教科書や木版本の書風となるなど、多大な影響を残し、市河米庵、貫名海屋とともに幕末の三筆に数えられています。
 本展では、幕末の同時期に新潟が輩出したこの二人の書人の書を比較し、社会における書の趨勢をとおして時代を見つめ直し、それぞれの書の魅力を探ります。


主  催 新潟県立近代美術館、新潟日報社
後  援 新潟市、長岡市、新潟市教育委員会、長岡市教育委員会
     NHK新潟放送局、 BSN新潟放送、 TeNYテレビ新潟、 UX新潟テレビ21
     エフエムラジオ新潟、 FM PORT 79.0、 FMながおか80.7
協  力 N S T


   ※学校向け団体観覧のご案内はこちら、障害者の方へのご案内はこちらをご覧ください。


 

関連イベント

■作品解説会
 企画展展示室内で、作品を前にしながら当館学芸員が解説いたします。
 ①12月18日(日) ②1月15日(日)
  各日とも 14:00-  ※要観覧券(申込不要)

展示概要

1 良寛と巻菱湖の作品を対比して展示します。

 良寛と巻菱湖は同時代に生きながら、なかなか両者を比較して展示する機会は、これまで県内でも多くありませんでした。
 良寛没後に解良栄重(けら・よししげ)『良寛禅師奇話』の中で逸話として紹介されているように、良寛の嫌う三つ(詩人の詩、書家の書、料理人の料理)として知られる、同時代の書家の代表が全国的に名の知られた巻菱湖であったせいかもしれません。
 また、一世を風靡した巻菱湖の名が、明治以降、下降を辿り、知る人が少なくなってしまったためかもしれません。
 同時代の、越後(新潟)出身の二人の書を、楷書や行草書、仮名、看板・大字などの観点で分け、その違いをご覧いただきます。

楷書の比較

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巻菱湖《楷書唐詩帖》(部分)巻菱湖記念時代館蔵

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良寛《題蛾眉山下橋杭》個人蔵

 

行草書の比較

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巻菱湖《漢詩》(左隻) 当館蔵

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良寛《漢詩「今日乞食ほか」》(右隻)個人蔵 県指定文化財

 

2 初公開の巻菱湖の寺号額が展示されます。

本展の調査の中で新発見の長岡市宮本町、法明院の寺号額も美術館で初公開します。普段、お寺の本堂高くに掲げてある大きな寺号額です。
「菱湖」の落款もあり、菱湖らしい細身の端正な楷書で書かれています。

 

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巻菱湖《鐵塔法眀窟》 長岡市宮本町法明院蔵

 

3 重要文化財や県、市指定文化財を多数展示します。

国や県、市指定の下記員数の文化財を展示します。良寛:重要文化財2点、県指定3点、新潟市指定2点、巻菱湖:新潟市指定1点(上下巻)

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巻菱湖《「司空表聖詩品二十四章」より第五則》
新潟市巻郷土資料館蔵 新潟市指定文化財

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良寛《心月輪》個人蔵 新潟県指定文化財

 

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良寛《漢詩「芳草萋々緑連天」》
個人蔵 重要文化財

 

基本情報

会期

2016年12月13日(火) ~ 2017年01月15日(日)

開催時間

9:00~17:00
券売は16:30まで

休館日

12/19(月)、26(月)、29(木)~1/3(火)、10(火)

観覧料

大人: 当日700円(500円)
大・高生: 当日500円(300円)
※( )内は有料20名以上の団体
※中学生以下無料
※障害者手帳・療育手帳をお持ちの方は観覧料が免除になります。受付で手帳を御提示ください。

会場

新潟県立近代美術館
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