ナビ派と日本

概要

1890年代のフランスで活躍した「ナビ(Nabi=ヘブライ語で預言者の意味)」派の反映を、日本で新しい芸術を生み出そうとしていた1910年代の画家たちの間に見つけ出そうとすることは可能でしょうか。たとえば京都で活躍していた土田麦僊などの日本画家たちは、洋画家とも親しく、また西洋の美術を積極的に学ぼうとしていました。油絵の画家たちも同様で、梅原龍三郎や満谷国四郎のように実際に洋行した者たちばかりではなく、ほとんど他の人々とは没交渉ながら森鴎外によってその姿を記録されている宮芳平のような画家に至るまで、直接に間接に19世紀後半のヨーロッパ美術の核心をつかみ取ろうとしていた様子をうかがうことができます。また多くの画家たちがこの時期、さらに大胆な実験の場として版画を試み、様々な潮流を取り入れていたことも忘れてはならないでしょう。20世紀という大きな波を迎え、セザンヌやゴーギャン他の多くの先人たちに憧れ、また19世紀末の文学や音楽などの芸術の流れを強く意識しながら自己の芸術を確立しようとする…そんな彼らの意識は、約20年のタイム・ラグを越えて、世紀転換期を目の前にした時のドニやボナール、ヴァロットンらナビ派のメンバーの心にあった゛たかまり″を思い起こさせるものです。本展では全体を3部に分け、両者を結びつける幾すじかの細い糸の一瞬のきらめき、短命に終わらざるをえなかった彼らの熱を感じることができればと思います。

基本情報

会期

2000年09月15日(金) ~ 2000年11月05日(日)

会場

新潟県立近代美術館
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